建築現場監督のブログ Construction engineer's blog

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材料工学 幅厚比について

結構イメージの湧かない幅厚比についてです。

現場監督として大事な知識です。

 定義

幅厚比=材の幅/材の厚さ

幅厚比は、材の『薄っぺらさ』を表す指標。
幅厚比が大きい=薄っぺらな材料。
幅厚比が小さい=分厚い材料。

 

 薄いペラペラの材料は、簡単に材が座屈を起こす。その際、部分的に折れ曲がってしまう現象を『局部座屈』と言う。なので、幅厚比は局部座屈の発生しやすさを表す指標ともいえる。

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実務的な話をすると

強度の高い鋼材との関係を覚えておくとGoodです。通常大きな力に対抗出来るよう強い強度の鋼材を使用するが、鋼材は強度が高くなっても実は・・・

剛性(変形しにくさ)は、ほとんど変わらないという性質がある。

高強度鋼だろうが、低強度鋼だろうが、一緒。


ヤング率(E)など剛性はほとんど同じ。

高強度鋼はあるが、今のところ高剛性鋼と言うものは夢の材料である。(いずれ発明されるか?)


座屈現象は、材料の強度に相関するものではなく、材料の剛性に相関するもの。
つまり、高強度鋼を用いても、その材の幅厚比が同じなら、局部座屈の起こりやすさも同じ。


建物の構造として局部座屈を考えると、座屈の発生から思わぬ破壊となり、せっかくの高強度材を入れる意味がなくなってしまう。

よって、高強度鋼を用いる場合、高い強度が十分に発揮できる領域まで、局部座屈を起さないように。


起こさないように!!

 

高強度鋼になればなるほど、幅厚比は小さく、分厚い材料とする必要が出てきます。

 

鋼材の使用上の注意は、 断面性能が高く、比重も重い為、合理的に使うには、薄っぺらな(断面積の小さな)材として使う事がほとんどだが、 ただ使うのではなく様々な座屈現象を考慮して使用する材料。

 

関連知識として、鉄骨造(S造)の梁を座屈させないように小梁を入れたりし防ぐ事もある。こういった知識を基に鉄骨業者等と打ち合わせを行い、話術に入れる事も現場監督の能力としては重要です!