コンクリートにおける国土交通大臣認定及び JIS 認証の仕様への不適合
2018年5月29日
使用すべき骨材と異なる産地の骨材を使用
関東宇部コンクリート工業株式会社の豊洲工場、浦安工場、溝の口工場、横浜工場の 4 工場が出荷したコンクリートに、本来使用すべき骨材と異なる産地の骨材を使用していたことが発覚しました。
経緯について
理由として本混入の発端は、2006 年に需要に対して伊佐品の供給量が不足したため暫定的に別材料を供給したことが始まりだったそうです。
こちらの写真のボコボコした所が骨材(粗骨材)です。定義としては、5ミリのふるいにかけた時に、85%以上の質量がとどまる粒径の大きい骨材のことを粗骨材と言います。コンクリートを構成する上で一番使われているので、その品質は非常に大切です。
では、何故大臣認定及びJIS認証の仕様への不適合が問題となるのでしょうか。それは、建築基準法によります。
建築材料の品質基準
建築基準法第37条
1.定 義
(建築材料の品質)
建築物の基礎、主要構造部その他安全上、防火上又は衛生上重要である政令で定める部分に使用する木材、鋼材、コンクリートその他の建築材料として国土交通大臣が定めるもの(以下この条において「指定建築材料」という。)は、次の各号の一に該当するものでなければならない。
一 その品質が、指定建築材料ごとに国土交通大臣の指定する日本工業規格又は日本農林規格に適合するもの
二 前号に掲げるもののほか、指定建築材料ごとに国土交通大臣が定める安全上、防火上又は衛生上必要な品質に関する技術的基準に適合するものであることについて国土交通大臣の認定を受けたもの
上記の条文をまとめると下記のポイントとなる。
・指定建築材料のうち大臣が指定(コンクリート)するものについては、それぞれが適切なJIS又はJASに適合するものと規定している。
・JIS規格品以外を使用する際は、法第三十七条二号の大臣認定でも良い。
・JIS規格外品でかつ大臣認定も取られていない海外の製品等は、試験成績書等で客観的に品質を証明できる書類を監理者に提出し承諾を得て使用する。
細かい部分については、下記の記事を参考にして下さい。
今後の対応
・これまでに出荷したコンクリートの安全性については、第三者機関から、仕様と異な
る産地の石灰石を骨材として混入したことによるコンクリートの品質への影響はない
との見解を得ているところ。
・JIS 品については、JIS A 5308 への適合を特定行政庁が個別に確認することとなる
ため、建築主事又は指定確認検査機関が中間検査又は完了検査に際して、個別に JIS
規格への適合性を円滑に判断できるよう、必要書類を提出予定。
・大臣認定品については、不適合品であった 41 件中、施工中の物件に係る 11 件のうち、7 件について新たな大臣認定を取得済み。
※建築基準法に基づく