軽量鉄骨壁下地のスタッド材料(LGS)選定について
2022.05.18更新
最近、色々な工事を統括管理していますが、経験則でやって「何故そうなるか」理解されない工事監理または、施工管理をされている方が多いので、ブログにまとめます。今回は、表題の通りスタッドことLGS(ライトゲージスティール)に焦点を当てお送りします。
話の前に重要な前提
ゼネコンは、設計者の意図(設計図)を十分汲み取って施工を進める必要があります。ですが、近年施工者まかせで設計者の意思が図面に表現されていない(詳細不明な)設計図書が多く、曖昧な事で様々な現場で問題が発生しているかと思います。
それでは、確認して行きましょう。
スタッドの種類は大きく2種類ある
建築工事で一般的となった軽量壁下地ですが、実は大きく分けて2種類あります。先ずは、一般的なコ型のスタッド、対するもう一つは、ロ型のスタッドです。ロ型のスタッドは、角スタッドと言われ施工が簡略化された材料で使用部材を少なく出来ます。強度確保のため、形状がロ型となっています。
では、何を根拠に使用すれば良いか?
それは、図面に材料の指定があるか確認します。記載される主たる場所は、特記仕様書部分です。しかし、使用材料まで細かく記載されたマニアックな図面は少ないので、別の共通したルールを図面内で指定し情報を補う事が一般的です。それは、特記仕様書の適用図書部分です。通常は、そこに記載された適用される仕様書を確認し、ルールを確認する流れとなります。
仕様書は、3つ主要なものがあります。
代表的な別の仕様書は、国交省(建築工事標準仕様書)と日本建築学会(JASS建築工事標準仕様書)と私も見た事ないマイナーな日本建築家協会(JIA建築工事共通仕様書)があります。どれを適用するかは、設計者の所属団体などの関係で一定の傾向がありますが、一般的には、国交省の仕様書が多いです。ちなみに同省HPでPDFを無料でダウンロード可能ですが、残りの2団体の仕様書は本を購入しないと中身を確認出来ません。
★次回、この2社団法人団体の事を掘り下げて解説したいと思います。建築業界の勢力に関する事なのでかなり、面白い内容だと思います。
上記をまとめると
材料確認のプロセス
図面で材料仕様の確認→無い場合、適用される仕様書を確認(必然的にJIS材料と結び付く)→仕様を満たす材料とメーカーの選定→資材承諾・材料確認届を設計監理へ確認→使用許可
基本的に仕様書ではJIS規格品を使用するように指定されています。そのため、規格品となるコ型スタッドが採用されます。補足ですが、コ型スタッドは組み上がった強度がロ型より強く、かつJIS規格として品質基準が細かく規定されているためです。その為、各メーカーは、規格基準に沿って生産しています。
対するJIS規格外品のロ型(角)スタッドは、あえて図面に記載されている場合に使用します。その他、納まり等により使用したりしますがここでは割愛します。
壁材料の規格:JIS A 6517 (建築用鋼製下地材(壁・天井)
過去記事に建築工事で使用する材料(JIS等)についてまとめているので時間があれば確認して下さい。
コ型スタッド
ロ型(角)スタッド
まとめ
・基本スタッドは、コ型スタッドを使用。
・図面で材料指定されている場合は、その指定品を使用可能(コ型・ロ型共)
・図面に情報が少なく図面を補う別仕様書の指定も無い場合、または図面がそもそも無い現場に関しては根拠が無いのでコ型・ロ型共に使用可能。
以上です。ここからは、マニアックな人限定の内容です。
番外編
従来の壁下地は、大工による木下地壁が主流でしたが、高度経済成長期(1954年〜1973年)に施工の合理化が図られ、様々な工法が導入され壁下地もその頃、木下地と比べて施工手間の掛らない鋼製下地材(以下、軽鉄と記載する)が導入されました。導入当時は、木下地と比べて単純なランナーにスタッドを建てるだけの軽鉄下地は信頼性が無くなかなか普及しませんでしたが、1963年100尺法(31m)規制緩和による建物の高層化により材料軽量化の流れが発生し瞬く間に普及していきました。ちなみに、日本初の超高層ビルである1968年霞が関ビルはこの頃です。
その後、1979年にJIS A 6517 (建築用鋼製下地材(壁・天井)が、制定され現在に至ります。ちなみにJIS制定前から角(ロ型)スタッドは、存在しており歴史もあります。
今では、ほとんどの工事に軽鉄が使用され内装=軽鉄工事がメイン言っても過言では無いです。なので、下請けの軽鉄業者がおのずと偉そうに他工種の職人は感じてしまいます。「あの軽天屋偉そう」と・・・軽鉄が無いと次に進まないので後に続く工種の職人は歯痒いでしょう。
軽天屋は、壁も天井も作るので躯体工事で言う型枠・鉄筋屋みたいな感じです。