建築現場監督のブログ Construction engineer's blog

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支持層と杭の長さに関して

テーマ:杭の長さの世界

 

更新:2020.11.30

地震時に杭が引き抜かれる?

 地盤調査で支持層の確認をし杭の長さを想定しますが、実際に杭工事が始まり支持層が浅いという事がたまにあります。その際どの様な観点で判断をしますか。聞けば当たり前ですが、施工者は設計者の判断任せなので施工のプロとなるため抑えるべき知識を記します。

 まず、杭の役割として建物の重量を支持層地盤へ伝えますが、同時に地震や風圧による水平は力も負担します。ここがポイントでもっと細かく言うと、転倒に起因する引き抜き力にも抵抗します。ところが、杭長が短くなると必然的に地盤との摩擦による抵抗力が小さくなります。棒を土にさすと長い方が抜きづらいですよね。短くする場合の対策としては節杭や拡底杭よる方法があります。

 では、どういった建物が注意しなければならないか。それは、タワーマンションなどの縦長形状の建物が危ないです。縦長の形状の建物は、一般的に搭状比が大きく平成19年の改正建築基準法では確認が義務付けられました。その他、偏土圧が建物に作用する場合も要注意です。注意が必要な搭状比の目安は、4以上です。

タワーマンションことタワマンの勢力図 - 建築現場監督のブログ

 

 ちなみに送電鉄塔は、すごく大きな場所打ち杭を設けるようです。場所打ち杭は、地盤と杭が密着するので抵抗力が強いです。送電線の張力や風圧力に耐えるためには、足元からです!
 地盤は自然そのものであり、 その地盤が今そこにあるのは、過去何万年にもわた る自然の営みの結果でこれを完全に把握できないです。それを自在に制御しようというのはそもそも不可能なので、自然を少しでも理解し、その中で安全に建物を建設していけるように知恵を絞るという考え方が非常に重要です。

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