長屋と共同住宅(集合住宅)は違います。
見分け方とその条件
2以上の住宅が集まった建築物は、建築基準法上利用形態により長屋または、共同住宅に分類されます。互いの特徴は、壁や床を共有する点です。その一方で共同・集合住宅は、長屋と異なり各住戸までつながる廊下や階段、エレベーター等の共用部があります。それが、見分け方です。(法規上は、集合住宅の名称は無い)
豆知識
長屋は、住宅を横にした連続建てと、上に重ねた重ね立ての2種類があります。それぞれ単独の出口、階段があります。
住戸を隔てる界壁について
良くアパート等で隣の住人の生活音が聞こえる話がありますが、法規的基準は下記です。
・小屋裏、天井裏まで達する
・準耐火構造以上(主要構造部が耐火の場合注意)
・規定する遮音性能を有している
(重ね立ての場合、床も同様の措置が望ましい)
上記を満たす壁の技術的基準は、12mm厚以上の石膏ボード2枚貼りでボード内にグラスウール25mm厚以上かつ仕上げ壁厚で100mm以上が求められています。
規定の遮音性性能は、下記です。
こちらの性能は、空気伝播に対してであり、振動等の固体への伝播音は対象外。
避難と防火の関係と設計の注意点
長屋は、特殊建築物に該当しないのですが、共同住宅は、3階以上となると耐火建築物とすべき特殊建築物に該当し階数に関係無く、避難通路と非常用照明の設置が必要となります。(住戸部分は免除あり)
その他、3階に吹き抜けかつ200m2以上の居室があると竪穴区画が必要となり、避難では直通階段の設置と屋外への出口の規制がかかる。また、延べ面積が500m2超や排煙上無窓居室がある場合に排煙設備が求められ、敷地の周りに4m以上の通路かつ外壁面に代替の非常用開口部が無い場合は、非常用進入口が必要で各住戸の出口から有効幅員1.5m以上の道や公園までの通路も必要です。
長屋のメリット
長屋は、床面積が大きくない場合、界壁の規定以外は、戸建て住宅とほぼ変わらないと考えて良いです。よって、建築費が比較的安く出来ると思います。しかし、内部の避難通路が単独になってしまうので計画に関しては、廊下や階段等の避難動線に注意し計画する必要がある。
補足
避難距離
・直通階段までの距離
50m(主要構造を準不燃)または40m
・階段から出口までの距離
50m(主要構造を準不燃)または40m
注:内装が準不燃の場合+10m
・居室から出口までの距離
100m(主要構造を準不燃)または80m
注:内装が準不燃の場合+20m
耐火規定
規模に応じた
・法21条:大規模な建築物の主要構造部
・法25条:大規模の木造建築物の外壁等
・法26条:防火壁
・法27条:耐火建築物としなければならない特殊建築物
地域に応じた
・法61条:防火地域内の建築物
・法62条:準防火地域内の建築物
番外編
100m以上の共同住宅になるとヘリポートが必要です。良く見ると文字が書かれておりH(ヘリポート)の場合は着陸可能でR(レスキュー)の場合は、空中に浮遊したままの救助出来ます。