単位水量試験について
基準から外れてしまった場合は、持ち帰らせます。
最近、知り合いの現場監督から単位水量試験の計算方法など問い合わせがきます。この単位水量試験、特記仕様書に独自で頻度が書かれてしまった場合は、大変です。国土交通省の基準より測定頻度が増加してしまう現場もあるそうです。通常建築工事の場合は、外注するのが多いと思います。なので、試験費用が結構発生します。「JIS工場を使用する意味はどこにあると」叫びたくなります。適用範囲は1日当たり、コンクリート種別ごとの使用量が100m3以上施工場合が対象。1m3以下でも試験を行えと要求される現場もあると風の噂で聞きます。
目的は、構造体コンクリートについて配合計画書と現場納入コンクリートの誤差を確認する為、単位水量を測定する。原理は、生コンを構成する材料の中で水は、コンクリートにおける他の材料と比較して密度が小さいので、単位水量が変化するとコンクリートの単位容積質量も変化する点に着目した推定試験です。
一般的な現場での単位水量試験の手順とポイント
1.単位水量の測定は、エアメーター法で行う。測定器は、国土交通省通達「生コン水量測定要領(案)」掲載品を用いる。
2.単位水量の試験は午前・午後で1回または、重要構造物では、100~150㎥に1回以上及び荷卸し時に品質の変化が認められた時に監理者と協議の上測定する。測定は、打込み直前のレディーミクストコンクリートを対象とする。
3.測定した単位水量が、設計値±15kg/㎥を超え±20kg/㎥以下の範囲では、水量変動の原因を調査改善を指示して打設する。(管理値内に安定するまで毎回測定)なお、管理値または指示値を超える場合は1回に限り再試験を実施出来る。その際、絶対値の小さい方の値で評価して良い。
4.測定した単位水量が指示値±20kg/㎥を超える場合は、持ち帰らせる。その後、単位水量が管理値内に安定するまで全運搬車の測定を行う。
エアメーター法による場合の注意点
1.エアメーターの容積から生コンの単位容積質量を推定する事から、ワシントン式エアメーターは、キャリブレーションされたものを使用する。(空気量の測定誤差0.1%あたり1.5kg/m3の変動あり)
2.エアメーターの容積は、1mLまで求める。
3.配合計画書に記載されている骨材密度(JIS A 1109、1110)、骨材修正係数(JIS A 1128)が正しくないと単位水量に大きな誤差が発生するので、正しく測定する。
4.空気量の変動により単位容積質量が変化する事から配合計画書で計画された空気量とし、変動が無いようにする。(空気量が多いとマイナス方向へ測定値が傾く)W-Checkerの場合は、要注意。
5.計量器(はかり)の精度も単位水量試験の誤差に繋がる為、使用する計量器精度は、1g以下を用いる。(5gで約0.5kg/m3の変動あり)
6.エアメーター中のコンクリート量が10g(約5.0mL)変動すると1.1kg/m3単位水量が変化する為、上面仕上げは慎重に行う。
単位水量測定手順
1.配合計画書から1m3当りの質量を求める。
2.空気量を除いた容積を求める。(セメントは、水と混ざると1/1000容積が減少すると考える)例:空気量4.5%の場合セメントの容積減を考慮すると4.964%となる。
3. 配合計画上の空気量を除いた単位容積質量を求める。
4.エアメーターの容積とエアメーターの上蓋質量を資料等を取り寄せ確認する。
5.エアメーターで空気量を測定する。(値をメモする)
6.計量器でエアメーターの質量を図る。(約25kg以下)
7.6の質量から上蓋質量を除いた質量を算出する。
8.試料の空気量を除く容積を算出する。
9.試料の単位容積質量を算出する。
10.配合計画書から求めた質量(3.)から試料の単位容積質量(9.)を引き換算係数β:0.7を掛ける
11.配合計画書に記載された水量+(10.)=推定単位水量
上記が通称土木研究所法と呼ばれている方法です。
手順を覚えれば、現場で電卓を使用して3分位で算出可能です。