打放しの種別と型枠用合板(せき板)の品質と躯体精度(仕上り)について
設計図面での品質は結構あいまい!結局は、見た目なので見積り額との差から問題発生
更新:2020.12.25
〜普通型枠と打放し型枠の違いを解説〜
さて、最近現場において問題となっているのが打ち放し仕上げの仕上がり程度です。何故かと言うと設計図書等で明確に記載されていないです。外部塗装前の左官工による下地調整など。(仕様書には無い工程)
型枠用合板(せき板)の種別
先ずは、型枠(せき板)の種別です。規格は、JAS(日本農林規格)にあります。一時期(東北地震時)、中国製ベニヤ等出回っていましたね。解体時に綺麗に剥がせない等問題がありました。
合板の原木は、広葉樹から針葉樹へと転換され、化学物質の問題からホルムアルデヒド放散量の少ない合板へと時代と共に変化しています。
種類は、複数あります。使用面と不使用面(仮に表面・裏面とする)の品質で種類が決まってます。まず、A種:塗装合板(パネコート)・B種:一般的な合板(普通合板)・C種、D種とあります。
表記の例
A-A、A-B・・
B-B、B-C・・・
C-C、C-D・・・・
建築工事標準仕様書では、下記のように規程されています。
せき板の材料
せき板の材料は,特記による。特記がなければ,次による。
・コンクリート打放し仕上げの場合は,表面の仕上り程度に見合ったものとする。
・ せき板の材料として合板を用いる場合は厚さは特記による。特記がなければ,厚さ12mm とする。なお、合板に用いる樹種は,広葉樹,針葉樹又はこれらを複合したものとする。
・JAS「コンクリート型枠用合板の規格」による表面加工品
・JAS「コンクリート型枠用合板の規格」によるB-C
※日本農林規格によるA~C、表面加工品のイメージ
・ はく離剤を使用する場合は,コンクリート面に悪影響を及ぼさないものとする。
・ 型枠は、支障のない限り再使用することができる。
打放し仕上げの種別
A種:目違い、不陸等の極めて少ない良好な面(通常、表面加工品<塗装合板、パネコート>としている設計図書が多い。本来なら上記イメージのA種合板使用)
B種:目違い、不陸の少ない良好な面とし、グラインダー掛け等により平滑に調整されたものとする。(塗装合板以外のB種合板を使用)
C種:打放しのままで、目違い払いを行ったものとする。(一、二度使用したB種合板を使用。)
★上記とは別に型枠自体に模様があり、脱型するとコンクリート表面が素地のまま綺麗な仕上げとなる型枠を化粧型枠を言う。土木工事に多いです。
これだけでは、仕上りの程度に個人の主観が入り明確な品質が分かりません。
なので、別項に記載されているコンクリートの平たんさの標準値を目安として考えます。(打放しの種別とリンクしていない)
1.化粧打放しコンクリートの場合
3mにつき7mm以下(1mにつき2.3mm)
ビー玉がころがる傾斜(1mにつき5.0mm)
2.吹付仕上げの場合
3mにつき10mm以下(1mにつき3.3mm)
3.タイル張り・モルタル壁の場合
1mにつき10mm以下
それでは、「化粧じゃない打ち放し仕上げの平たんさの標準値」は、どの程度でしょうか。明確に謳われていないので、どちらかと言うと個人の主観になります。特に表面の型枠模様や小さなピンホール等は必ず発生します。
また、それを消すためグラインダーを当てても痕跡が残り余計汚くなってしまう。その部分だけ左官補修しても色が違い目立つ・・・
大抵の設計監理者は、国交省の建築工事標準仕様書にグラインダーで目違い払いと記載されているのでやってくれと言うのみ。教科書通りは大事だが、グラインダーにより余計汚くなる事もある。
結果、施工会社負担で見積もりに入っていない左官補修を泣く泣くする(契約外の費用発生)それを意図的にやらせている会社も稀に見る。と言うか、おそらく気付いてないと思う。追加工事として行わせる場合は、何も問題が無いが追加費用を施主は簡単に認めないです。「初めから想定出来たでしょ」と言われる。
2020.5.6追記
「どれくらいの仕上りを意図しているのか!?」見積り依頼時から設計図書にきちっと明記する事が重要。仕上がりの質は、人により感覚の違いがあるため要求する基準を設け要求する。それを元に施工管理は、知恵と技術を総動員する。そして、技術上問題がある部分は、問題提起し協議の上、見積りに反映させる。今まではこうやって貰っている・だったは何も進化していない。左官補修が必要ならばしっかり図面に左官補修を明記し見積もりに反映させるこれが大事です。
請け負い ⇒ 請負(うけまけ)よう言ったもんだ!!
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