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建築工事に使用する材料に関して

現場に使用する材料(資材承諾の件)

2021.02.10更新

 

 設計監理者がなかなか、承認してくれないです。こまったもんだ。本日は、材料についてまとめてみました。建築基準法上での規定では下記のようになっています。

1.定 義
(建築材料の品質)

 建築物の基礎、主要構造部その他安全上、防火上又は衛生上重要である政令で定める部分に使用する木材、鋼材、コンクリートその他の建築材料として国土交通大臣が定めるもの(以下この条において「指定建築材料」という。)は、次の各号の一に該当するものでなければならない。

 その品質が、指定建築材料ごとに国土交通大臣の指定する日本工業規格又は日本農林規格に適合するもの
 前号に掲げるもののほか、指定建築材料ごとに国土交通大臣が定める安全上、防火上又は衛生上必要な品質に関する技術的基準に適合するものであることについて国土交通大臣の認定を受けたもの

 

ちなみに、「政令で定める部分に使用する」は具体的には?

第百四十四条の三   法第三十七条 の規定により政令で定める安全上、防火上又は衛生上重要である建築物の部分は、次に掲げるものとする。


一  構造耐力上主要な部分で基礎及び主要構造部以外のもの

二  耐火構造、準耐火構造又は防火構造の構造部分で主要構造部以外のもの

三  第百九条に定める防火設備又はこれらの部分

四  建築物の内装又は外装の部分で安全上又は防火上重要であるものとして国土交通大臣が定めるもの

五  主要構造部以外の間仕切壁、揚げ床、最下階の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段、バルコニーその他これらに類する部分で防火上重要であるものとして国土交通大臣が定めるもの

六  建築設備又はその部分(長いので削除)

 

2.まとめ

 ・指定建築材料のうち大臣が指定するものについては、それぞれが適切なJIS又はJASに適合するものと規定している。

・JIS規格品以外を使用する際は、法第三十七条二号の大臣認定でも良い。

・JIS規格外品でかつ大臣認定も取られていない海外の製品等は、試験成績書等で客観的に品質を証明できる書類を監理者に提出し承諾を得て使用する。

条文では、JIS規格外品(指定材料以外)を使用してはいけないとは規定されていないが、下記の告示に規定されている建築材料は、最低でも一号または二号に該当するものでなければないと読み取れる。

 平成12年5月31日 建設省告示第1446号
  建築物の基礎、主要構造部等に使用する建築材料並びにこれらの建築材料が適合すべき日本工業規格又は日本農林規格及び品質に関する技術的基準を定める件

◎第一に次の一号を加える。

第一 建築基準法(以下「法」という。)第三十七条の建築物の基礎、主要構造部その他安全上、防火上又は衛生上重要である部分に使用する建築材料で同条第一号又は第二号のいずれかに該当すべきものは、次に掲げるものとする。

一 構造用鋼材及び鋳鋼

二 高力ボルト及びボルト

三 構造用ケーブル

四 鉄筋

五 溶接材料(炭素鋼、ステンレス鋼及びアルミニウム合金材の溶接)

六 ターンバックル

七 コンクリート

八 コンクリートブロック

九 免震材料(平成十二年建設省告示第二千九号第一第一号に規定する免震材料その他これに類するものをいう。以下同じ。)

十 木質接着成形軸材料(木材の単板を積層接着又は木材の小片を集成接着した軸材をいう。以下同じ。)

十一 木質複合軸材料(製材、集成材、木質接着成形軸材料その他の木材を接着剤によりI形、角形その他所要の断面形状に複合構成した軸材をいう。以下同じ。)

十ニ 木質断熱複合パネル(平板状の有機発泡剤の両面に構造用合板その他これに類するものを接着剤により複合構成したパネルのうち、枠組がないものをいう。以下同じ。)

十三 木質接着複合パネル(製材、集成材、木質接着成形軸材料その他の木材を使用した枠組に構造用合板その他これに類するものを接着剤により複合構成したパネルをいう。以下同じ。)

十四 タッピンねじその他これに類するもの(構造用鋼材にめねじを形成し又は構造用鋼材を切削して貫入するものに限る。)

十五 打込み鋲(構造用鋼材に打込み定着するものをいう。以下同じ。)

十六 アルミニウム合金材

十七 トラス用機械式継手

十八 膜材料及びテント倉庫用膜材料

十九 セラミックメーソンリーユニット

 ◎政令で定める部分以外に使用する材料は、指定材料以外が使える可能性もありますね。

 

追記

ここで主要構造部と構造耐力上主要な部分についておさらい。長いので興味のある方は雑学として読んで下さい。
建築基準法第2条5号
五  主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。

構造耐力上主要な部分
建築基準法施行令第1条3号
三  構造耐力上主要な部分 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。

構造耐力上主要な部分の定義は、施行令の部分に記載されている。法では20条に初めて記述がみられる。

原文:第20条3項
高さが六十メートル以下の建築物のうち、第六条第一項第二号又は第三号に掲げる建築物その他その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造とした建築物で高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの(前号に掲げる建築物を除く。) 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。

イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、構造耐力上主要な部分ごとに応力度が許容応力度を超えないことを確かめることその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。
ロ 前二号に定める基準のいずれかに適合すること。

・法での定義では無い理由は、法20条「政令で定める技術的基準に適合する事」として、政令に飛ばしているので施行令に定義が記載されていると思われる。よって、法20条の条文等の関係から構造耐力上主要な部分は建築物の力学的なもの=構造設計的用語!!

施行令では、令1条の用語の定義後は、第36条の3に2回目が出てくる。

原文:(構造設計の原則)第三十六条の三  建築物の構造設計に当たつては、その用途、規模及び構造の種別並びに土地の状況に応じて柱、はり、床、壁等を有効に配置して、建築物全体が、これに作用する自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して、一様に構造耐力上安全であるようにすべきものとする。
2  構造耐力上主要な部分は、建築物に作用する水平力に耐えるように、釣合い良く配置すべきものとする。
3  建築物の構造耐力上主要な部分には、使用上の支障となる変形又は振動が生じないような剛性及び瞬間的破壊が生じないような靱性をもたすべきものとする。

・こちらの文は見て頂けると、理解が深まると思う。

続いて、主要構造部です。
法1条の用語の定義後は、同条の9の2に2回目が出てくる。

原文:九の二  耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
(1) 耐火構造であること。
(2) 次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。
(i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
(ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
ロ その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。

・その後は、下記にピックアップした。
建築基準法
第20条:構造耐力
第21条:大規模の建築物の主要構造部
第23条:外壁
第26条:防火壁
第27条:耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない特殊建築物
第35条の3:無窓の居室等の主要構造部
第37条:建築材料の品質
第59条:高度利用地区
第60条の2:都市再生特別地区
第61条:防火地域の建築物
第62条:準防火地域内の建築物
第68条の10:型式適合認定

以上となります。
よって、主要構造部は、防火上の用語!!


※施工屋は、良く施工令と間違える。用語に注意です!!