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複数プラントでの協同納入 記事No.105

大規模の現場での生コン協同納入について

 大型現場となると協同納入が良く現場着手時に問題となりますね。実際には、事例も結構あるかと思います。1日に1,000m3オーバーの場合などは、確実に2社以上ですね。(プラントのスペックによりますが)仕様書では、どうなっているでしょうか?

 

建築工事標準仕様書

6.4.1(5)同一打込み区画に、2つ以上のレディーミクストコンクリート工場のコンクリートが打ち込まれないようにすること。

 

建築工事監理指針

6.4.1 レディーミクストコンクリート製造工場の選定

(b)同一打込み工区に同時に複数の工場よりコンクリートが供給されると、それぞれの工場の品質責任の所在を明確化することが困難となるので、同一打込み工区への複数工場からの供給が行われないようにする。

ただし

複数工場による協同納入を避けることができない場合は、打込み区画を区分し、それぞれの納入工場に振り分けて、責任の所在を明確にすることが重要である。

 

建築工事標準仕様書・同解説

JASS 5 鉄筋コンクリート工事

6.2 レディーミクストコンクリート工場の選定

f.工場の選定にあたっては、同一打込み工区に2つ以上の工場のコンクリートが打ち込まれないように配慮する。

解説:同一打込み工区(すなわち、レディーミクストコンクリートの1か所の受入れ箇所)に同時に複数の工場よりコンクリートが供給されると、それぞれの工場の品質責任の所在を明確にすることが困難となる。このため同一打込み工区への複数工場からの混合使用を避けるように、コンクリートの供給能力を考慮して工場を選定しなければならない。大量打設などの都合で、同時に複数工場からの納入を回避できない場合には、打込み区画を区分し、それぞれの納入工場を振り分けて、責任の所在を明確にすることが肝要である。

 

コンクリートの品質管理指針・同解説

5.5 レディーミクストコンクリートの発注

b.複数のレディーミクストコンクリート工場にコンクリートを発注する場合は、その使い分けを明確に定める。

解説:コンクリートの打ち込み量によっては、1つのレディーミクストコンクリート工場だけでは供給出来ない場合がある。複数の工場を使用する場合には、トレーサビリティの観点から同一打込み工区に複数の工場のコンクリートが打ち込まれないように配慮して発注しなければならない。

 

用語の意味

工区:長距離・広範囲にわたる工事のとき、施工単位として区切られた区域。

区画:土地・紙面のような広がりに境目をつけた、仕切り・まとまり。

区分:区別して分けること。また、それぞれに分けた、その仕切り。区わけ

 

禁止では無い。実際に施工する際のポイントは、責任範囲の明確化ですね。

同一打込み区画の定義は、「コンクリートが一体のものとして固化するよう、1日の内に連続的にコンクリートを打込むものとして設定した区画」

 

実際の施工では、構造担当者と打ち込み区画の協議を行い、はたして1プラントで供給可能かの検討を行う。厳しければ、解決していくプロセスですね。さらに細かく区分けするか2社以上の検討。その場合、試験施工で混ぜて圧縮強度をみるとか、簡単な構造物を実際作り仕上がった際の品質をみるとか、混和剤の相性確認とか、生コン協同組合や設計監理者との間でお互いが納得する協議を重ね方向性を決める。

実際裁判になったとしても、責任所在と2社以上の協同納入になったプロセス(記録)が妥当なのかを確認されると思います。実際この件に関しては、研究もされており特に品質劣化は見られないと出てもいます。

参考にした資料:岸谷孝一 : 異種生コン, 異種混和剤の混用に関する問題点, セメント・コンクリート